誰も、自分の行き先を知らない

 

いつも見慣れているはずの場所が、少しのきっかけでまったく違った風景に見える。そんな時、私たちは思います。「私は、自分のいる場所が理解出来ているのだろうか?」「私たちの住んでいる街は、ひょっとしたら『違う街』なのではないか?」

一部だけ、一瞬だけを見れば現実に違いない風景。でも、少し離れて眺めてみるとどこか狂っている。そんな風景を徹底的に積み重ねることによって表現される「Different Cities」。実在の都市「東京」の映像をサンプリングし、再構成した精緻なビジュアルが、この漠然とした「他所にいる感覚・どこでもない場所にいる感覚」を鮮烈に表現します。


この映画をみる時、あなたもきっと「違う街」にいる。

STORY


一見東京のようでいて、どこか違う都市。そこが何と言う場所で、どこまで広がっているのか誰も知らない。

記憶にない家を探してさまよう男、見えない猫の足跡を追う女。ある者は街を出ようと自動車に乗り、果てしない高速道路を彷徨する。ある者は混沌を解読しようと街を測量する。あたかもそれがすでに日常であったかのように、明確な形をとることのない疑問「果たしてここは現実なのか? 私を内包するこの世界は、かりそめに、たった今ささいなきっかけで生まれたに過ぎないのではないか?」 彼らの視点の交錯する中、世界は穏やかに浮かび上がり、実体を持つ。